平成22年分の確定申告の受け付けが、2月16日から3月15日(平成23年)まで各税務署などで行われる。住宅の新築や購入のために住宅ローンを組んだ場合、確定申告をすることで所得税が10年間で最大で500万円(長期優良住宅なら600万円)も戻ってくる。増改築ではローンがなくても適用されるケースもある。ちょっぴり複雑だが、サラリーマンなら1度申告すれば、医療費控除とは違って翌年からは年末調整だけで済むようになる=テーマ特集「住まいの建てどき、買いどき...その2「住宅関連の税制の優遇策」参照」。
■住宅ローン控除とその要件は
「住宅借入金等特別控除」というのが正式で、自分が住むために建てたり買ったりした住宅のローンや借入金が年末にいくら残っているか、その残高(上限は5000万円)に応じて所得税などを一定の期間(現在は10年)"安く"するという制度である。もちろん、建て売り住宅のように住宅と一緒に買った土地代も含めることができる。中古住宅を買ったときや増改築をした場合も適用される。制度の適用は、住み始めた年から始まる。22年分の確定申告をするには昨年(平成22年)12月31日までに住んでいなければならない。一般的には住民票によって確認するが、届け出が今年になってしまったら確定申告は来年回しになる。そんな時に、年末までには住み始めていたことを証明する方法がある。自分名義の電気やガス、水道の請求書や領収書である。実際に住んでいたからこそ発生した光熱費だからだ。
税が控除される要件は、まずは、当たり前だが住宅ローンを組んでいること。返済期間は10年以上で、月賦のように分割して払っていることが必要である。次に、住まいを取得後、6カ月以内に入居して住み続けており、建物の大きさは床面積が50m2以上あり、その半分以上が居住するスペースでなければならない。例えば店舗付き住宅で、店舗部分が50%以上を占めると控除の対象外となる。さらに、控除を受けようとする年の所得の合計が3000万円以下であること。それ以上では控除は受けられないが、3000万円以下になったら控除は復活できる。中古を購入した場合は、"新築の場合の条件"に加えて建築後20年以内(耐火建築物なら25年以内)で、建築後に人が住んだことがあり、購入先が父母などの"身内"ではないことなどが必要になる。また、増改築の場合は、"新築の場合の条件"のほかに、建築基準法に規定された大規模な修繕・模様替えの工事やバリアフリー改修工事で工事費が100万円を超えるもの、あるいは省エネ改修工事であることが求められる。
■控除の対象となる借入金と限度額とは
住まいを取得するための借金ならどこから借りたものでもいいというわけではない。銀行や信用金庫などの金融機関の住宅ローンや住宅金融支援機構の「フラット35」、家を建てた建築業者、買った不動産業者などはもちろん、勤務先の会社からでも金利1%以上で借りていればOKである。親族や知人から借りた場合は対象外となる。共働きなどで夫婦の収入を合わせてローンを組んだときは、借り入れ名義人を夫婦連名、つまり「連帯債務者」にすれば、夫と妻がそれぞれに控除を受けることができる。「連帯保証人」となってどちらか一人の名義にするよりも夫婦の家計全体では"お得"になるケースがあるから試算してみよう。限度額は、年末ローン残高が5000万円までである。
■申告に必要な書類と控除額は
まずは税務署などに置いてある「平成22年分(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を入手して記入し、それに住民票(の写し)、金融機関からの「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」(原本)、家屋と敷地の売買(または請負)契約書(写し)、家屋の登記事項証明書を添えて提出する。サラリーマンは、1度確定申告をすれば翌年からは勤務先の年末調整だけで控除が受けられるようになる。給与所得者以外は毎年申告するが、2年目以降は、計算明細書や残高証明書は必要だが住民票などが不要になり、添付する書類が減る。
控除額は、一般住宅では控除率が1%、認定された長期優良住宅は1.2%と定められており、それぞれの最高額は限度額上限の5000万円の場合で50万円、あるいは60万円になる。この払いすぎた税として戻される還付金が、払った所得税額より多くて戻しきれなかったときは、翌年度の住民税から自動的に差し引かれる。例えば、所得税が30万円の人の還付金が40万円だった場合、10万円は住民税で"清算"することになるが、住民税では最高控除額が9万7500円と決められているので、合計額は39万7500円になるというわけである。控除期限は10年間なので、最高では一般住宅で500万円、長期優良住宅で600万円という計算になる。これは、ローン残高は年々減るから、10年間いつも5000万以上のローンが残っているケースに限られる。
■買い換えたときや借り換えたときは
高齢者で戸建てを売ってマンションを買い、住み替える人が近年、多くなっているという。新築で買った自宅も、売却するときは中古になっているわけだから買ったときより値下がりしているのが普通である。そんなケースで損をしたら、所得から損失金額を差し引き、引ききれずに"赤字"が残ったらその金額を翌年、また差し引くことができる。最長で3回繰り返せるから、計4年間は税金0になる。ローンが残っている家を売ったときも同様である。そうした「譲渡損失」が出たという人は税務署などで相談をしてみたらいい。
また、金利の安いローンに借り換えたときは、新たに10年間、控除を受けられるのではなく、それまでのローンで受けてきた控除期間を引いた残りが控除期間となる。■こんなときは
昨年末までに"新居"に住んだ人は、住民票の届け出が今年になってしまっても、前述した光熱費の領収書などで昨年中の入居を証明して確定申告を済ませよう。来年回しになると大きな"損失"が生じる。一般住宅では、平成22年は年末のローン残高が最高が5000万円だが、23年になると4000万円にダウンするので、10年間の控除額が最高で500万円から400万円と100万円も減ってしまうからだ。長期優良住宅のほうは今年まで1.2%が継続する。
海外赴任や長期の入院などで確定申告ができなかったままの人は、5年前まで遡って申告ができるから今年やればいい。ただし、途中で医療費控除などの確定申告をしていると「修正申告」ということになり、控除が難しくなるそうだ。また、地方への転勤などで、せっかく新築した家を離れた場合はどうなるか。単身赴任して、家族が引き続き住んでいる場合は問題がない。家族も一緒に転居し、マイホームでの居住が"中抜き"になるケースは、いったん控除は中断される。だが、また戻ってきたら、残りの期間について控除を受けることができる。
税務署は通常、土日と祝日は休みだが、一部の税務署では2月20日と27日の日曜日に限って相談を受けたり、確定申告書を受け付けたりするところもある。案外近くの市役所の出張所などで受け付けることも多いから管轄の税務署のホームページを見たり問い合わせたりするとよい。申告書は税務署以外にも市役所や出張所などでも配布しているほか、国税庁のホームページからもダウンロードできる。インターネットを利用する「e-Tax」で申告すると、所得税額から最高5000円の控除を受けられるほか、還付金の戻りも書類で提出するより早くなるそうだ。
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